林動物病院

〒411-0802 静岡県三島市東大場2-2-19

猫の症状

元気がない

猫はよく寝る動物です。しかし、いつもは起きている時間帯も寝ている。また食欲がない時は注意して下さい。寝る場所も暗く静かな場所を選んでいるという事で飼い主さんが気付く場合もあります。
元気がない場合、病気や怪我、ストレスなどが考えられます。また36時間以上食事をしないと、肝リピドーシスという病気になる可能性があります。そのため24時間以内に体調と食欲が回復しない場合は来院をお勧めします。


水をよく飲む

猫は元々、砂漠の乾燥地帯の動物です。そのため、本来あまり水を飲まなくても良い動物ですが、以前に比べて飲水量が増えたり、尿の量が増えている場合は注意が必要です。水をよく飲む原因として、腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などがあります。
近年、大切に育てられている猫ちゃんは寿命が伸び、それに伴って猫の腎臓病が多くなっています。猫の3頭に1頭は腎臓病とも言われています。


尿が出ない

何度もトイレに行き、排尿姿勢を取るが尿が出ない場合、尿道が閉塞している可能性があります。閉塞になる前の初期症状としては頻尿・排尿困難・血尿の症状がでます。
閉塞の原因として、結石や腫瘍などがあり、猫では結石による閉塞が多く見られます。特にオスは尿道が細く結石が詰まり尿道閉塞を起こしやすいです。
尿道閉塞で完全に排尿できなくなると、1~2日で急性腎不全と尿毒症が発生し、そのまま放置すれば低体温、ショック、不整脈もあらわれ死に至ります。
治療は麻酔下で尿道にある結石を除去します。腎不全を起こしているのであれば、輸液療法等による腎臓の治療も行います。
尿道閉塞が解除できない場合、手術を行うこともあります。


尿に血が混じる

猫の血尿の原因として、泌尿器系の炎症や腫瘍があります。特に膀胱炎や尿道炎が猫では多くみられます。
膀胱炎の原因として、細菌感染や尿結石による膀胱炎、またストレスによる特発性膀胱炎などがあります。細菌感染や膀胱結石が原因の場合には早急な治療が必要です。


嘔吐・よく吐く

猫は様々な理由で嘔吐をします。勢いよく食べた後や空腹時の嘔吐、またグルーミング後に毛玉を吐いている場合はそれほど気にする事はありません。しかし病気での嘔吐も多いので、パターンを見極めるのが大事です。腎不全・消化器の腫瘍・膵炎・甲状腺機能亢進症・中毒・アレルギー・糖尿病・異物・腸閉塞などが考えられます。嘔吐と一緒に下痢をしていたり、嘔吐に血が混ざっている場合や、体重が減ってきた時は膵炎や腫瘍などの病気の可能性もある為、病院での検査が必要です。嘔吐物から便の臭いがする時は腸閉塞の可能性があります。またふらふらしている場合は中毒の可能性もありますので、急いで来院して下さい。


下痢・血便

猫の下痢の原因として、①食事によるアレルギー。②誤飲・誤嚥・拾い食い。③細菌・ウイルス・寄生虫などの感染。④病気(炎症・腫瘍・ホルモン疾患など)。⑤環境の変化やストレスなどがあります。来院の目安として、下痢が続いている。便に血が混じる。食欲や元気がない場合は診察を受けましょう。


便秘(便が出ない)

便秘の原因としては、水分不足や腎臓病などで脱水状態だと、便が硬くなります。また毛繕いで飲み込んだ毛、異物や腫瘍などにより便が出ない事もあります。その他にも運動不足やトイレが汚れているなどの環境的な要因などがあります。
排便時に痛む時は、肛門や肛門周りの問題や、骨盤骨折などがあります。
また精神的ストレスにより便秘になる事があります。
便秘を放置すると、溜まった便により腸が伸びてしまい、巨大結腸症になる可能性があり、悪化すると自力で排便が出来なくなる事もあります。


くしゃみ・鼻水

特に子猫ではくしゃみの他に鼻汁や結膜炎を起こす、ヘルペスウイルスやカリシウイルスなどによる猫風邪が多いです。
その他の原因として、アレルギー、感染症、炎症、腫瘍、異物などでくしゃみや鼻汁が出る事があります。


呼吸が苦しそう・咳をしている

  • ・気管支炎:ウイルスや細菌、マイコプラズマなどの感染が原因です。
  • ・喘息:アレルギーや感染などにより起こります。
  • ・腫瘍:肺や縦隔に腫瘍が出来る事によって呼吸困難を起こします。猫白血病ウイルスに感染している猫は若齢でも縦隔型リンパ腫を引き起こすことがあります。
  • ・心臓疾患:猫は心臓の筋肉に異常が出てくる心筋症が多いです。

猫は鼻で呼吸をする動物です。犬と違い口を開けて呼吸することは基本ありません。猫が口を開けて荒い呼吸をしていたら、呼吸困難の前兆です。すぐに来院して下さい。


かゆがる・毛がうすい・脱毛している

かゆみの原因としては、感染症(ノミ、マダニ、疥癬、糸状菌)やアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ノミアレルギーなどが考えられます。またストレスで過度に舐め脱毛する事があります。猫の舌はザラザラしていて、舐め続け出血をすると、そこから細菌が入り化膿する可能性があります。疥癬や真菌は人間にも感染する可能性があるので、しっかり治療する必要があります。


食欲があるのに痩せる

高齢なのに食欲旺盛。水をよく飲み、おしっこをたくさんする。なのに痩せていく。という場合、甲状腺機能亢進症かもしれません。飼い主さんは「高齢の割には元気」と捉えている方が多くいらっしゃいますが、病気の可能性もありますので、1年に1回は血液検査や、動物ドックをされる事が勧められます。


黄疸(歯ぐき・目・皮膚が黄色い)

猫の黄疸は3つのパターンがあります。①肝前性黄疸(溶血性黄疸)②肝性黄疸(肝不全)③肝後性黄疸(胆管閉塞)です。

  • ①肝前性はおもに溶血性貧血によるものです。自己免疫疾患、タマネギや人の風邪薬の誤飲誤食、伝染性疾患が原因となります。
  • ②肝性では、肝臓の炎症、感染、腫瘍、脂肪肝などによります。
  • ③肝後性黄疸は、膵炎、胆石や胆汁成分による胆管の閉塞などです。

黄疸は緊急性があります。普段から、目、歯ぐき、皮膚の色をよく見てあげて下さい。


口が臭い・よだれが多い

口臭がする場合は口の中をよくチェックして下さい。口臭の原因として、多いのは歯垢の中の細菌が原因となる歯肉炎や歯周病です。その他にも口腔内腫瘍でも口臭がきつくなり、よだれや出血が認められる事があります。口臭は口の中の問題だけではなく、腎機能不全、肝機能不全、重度の便秘などでも認められます。
3歳以上の猫では約80%が歯周病とも言われているので、日ごろから口の中の手入れを心掛けて下さい。


歯石が付いている

口の中や歯のケアが不十分な場合、歯に歯垢が付きます。歯垢は数日で歯石に変わります。
歯石になると家で取り除く事が出来ません。
歯石が付くと、歯肉炎や歯周病のリスクが高まります。また歯周病になると心臓や腎臓にも病気を引き起こす可能性もあります。歯石は全身麻酔をかけて歯石除去を行います。日頃から正しい歯のケアで予防する事が大切です。


目やにが多い

少量の目やにはあまり心配する必要はありませんが、大量の目やにや、濃い黄色や緑色の目やにが出ている場合は、目の感染や傷などが考えられます。
猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス・猫クラミジアウイルスやその他のウイルスや細菌などの感染により目やにが出る場合があります。特に子猫で猫ヘルペスウイルス感染症や猫カリシウイルス感染症になると、死亡率が高く危険です。
また角膜炎や結膜炎でも目やにが多くなる事があります。


耳が臭う・耳がかゆい

外耳炎の原因は湿度や異物、細菌、真菌、耳疥癬などの寄生虫、アレルギーなどが原因でなります。耳が垂れているスコティッシュなどの品種で外耳炎が多くみられます。耳が赤い、黒い耳垢が多い、悪臭がある場合は通院して下さい。
また、耳疥癬はとても強い痒みを伴います。耳疥癬は自然に治ることはまずありません。外に出入りしている猫は感染しやすいので、日常的に耳のチェックをしてあげて下さい。耳疥癬では外耳炎の治療の他に、駆虫薬の注射か局所投薬をします。


痙攣(けいれん)・発作

猫に痙攣がみられたら飼い主さんはびっくりすると思います。てんかんの場合はたいてい数分でおさまりますが、何回も痙攣やひきつけを繰り返す場合、発作の時間が長い場合は緊急を要するので、すぐに来院して下さい。
痙攣の原因として、てんかん・脳炎・脳腫瘍・水頭症・腎機能不全・肝機能不全・低血糖などがあります。


しこりがある

猫も中年齢(7歳)以降になると腫瘍の発生率が高くなります。腫瘍と聞くと癌(がん)をイメージする方が多いと思いますが、腫瘍には良性の腫瘍もありますので、良性か悪性かを見極めることが大事です。確定診断をするには、腫瘍を切除して行う病理検査が必要ですが、細い注射針でしこりの細胞を少量採って行う細胞診でも、ある程度どのような腫瘍かわかる事があります。避妊手術をしていない猫や、避妊手術が2歳以降の猫では乳腺腫瘍の発生率が高くなっています。猫の乳腺腫瘍は悪性(癌)の可能性がとても高い(約90%)ので、早期発見・早期治療が必要です。乳腺が腫れていたり、しこりがある場合は、早期の診察が勧められます。その他に皮膚の腫瘍として、扁平上皮癌・メラノーマ・皮膚型リンパ腫・肥満細胞腫・脂肪腫などがあります。しこりを発見したら早めの受診と検査が大切です。