林動物病院

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# 4 : 犬の胃・腸 切開術 / 【誤食 ! 】胃から肛門まで続くヒモ状異物摘出術

わんちゃんも猫ちゃんも、私たちが想像しない物を誤食してしまうことがありますよね。

そんな誤食の中で特に恐ろしいのが、中毒閉塞です。

中毒となる人の食べ物や、飼い主さんのお薬を飲みこんでしまうこともあれば、消化できないおもちゃ・木片・石・紐状異物などを誤食し、胃や腸で炎症や閉塞を起こすことがあります。


今回の症例のお話をしていきます。

7歳の女の子のチワワです。

1週間前から元気消失と食欲不振。一昨日から便の色が黒くなり、えずいているが吐けないとのことで来院されました。

体温を測定しようと、お尻を見てみると、肛門から糸状の物が出ていました。お腹を触診しても痛がります。

詳しく検査をしていきます。

血液検査では炎症マーカーのCRPが8.5(正常1.0以下)とかなり高値です。

腹部の超音波検査では、フードを食べていないのに、胃の中に何か入っている影が見えます。(白矢印)

レントゲン検査でも、胃の中にフードではない異物が多く認められます。(黄色丸、赤丸)

消化管異物を疑い、開腹手術を行いました。

外科手術による異物摘出術

開腹してみると、腸がアコーディオン状(黄色丸)になっています。これは典型的な紐状異物です。

胃は大きく膨れ、触ってみると異物が触診されます。

胃を切開すると、中に紐状の異物が見えます。

胃から紐状異物を取り除いていきます。しかし小腸に進んだ紐は引っかかっていて取り除けません。無理に引っ張ると腸が破けてしまいます。今回は胃・十二指腸・空腸・回腸の合計4か所を切開して、紐状異物を全て取り除きました。

取り除いた異物の写真です。胃から肛門までずっと続いていました。胃の中の紐は絡まって胃の形のまま(緑矢印)出てきました。

今回の原因は絨毯の紐でした。おそらく遊んでいて飲み込んでしまったけれど、途中で切れずに永遠と飲み込んでしまったのではないでしょうか。

術後の経過も良く、術後5日目で無事に退院してくれました。


まとめ

誤食の中でも紐状の誤食は特に怖いです。開腹時の写真のように、アコーディオン状の状態が続くと炎症で腸が穿孔したり、紐により腸が破れたりして腹膜炎を起こす可能性があります。

もし、飼っている動物の口や肛門から紐が出ていても、無理に引っ張ったりしないでください。

今回の症例は犬でしたが、特に猫ちゃんは紐で遊ぶのが大好きなので、紐状のおもちゃには気を付けてください。

 

獣医師:林 敬明