# 95 : 犬の右副腎摘出手術 / 両側の副腎腫大
今回は、13歳のミックス犬の手術についてご紹介します。
検査結果と診断
このワンちゃんは、超音波(エコー)検査で左右の副腎が腫れていることが分かりました。そのため、詳しく調べるために他の病院でCT検査を受けて頂きました。
CT検査の結果は以下の通りでした。
- 右の副腎:直径25×31mm
- 左の副腎:直径15×27mm
通常の副腎の厚さは6mm以下なのでとても大きくなっています。
CT検査の結果ではどちらの副腎も腫瘍(副腎皮質腺癌)の可能性があるという診断でした。
手術の決定
飼い主さんと相談し、より大きく腫れている右側の副腎を先に摘出することになりました。
右副腎の摘出手術
副腎(黒矢印)はお腹の深い位置にあり、大きな血管のすぐ近くにあるため、手術が難しい部位です。
今回の手術では、より視野を確保しやすくするために、お腹をT字に切開しました。
摘出する今回の右副腎は、一部の肝臓と腎臓に癒着していました。また近くの大きな血管(後大静脈)と密接しています。そのため、慎重に剥がして摘出する必要がありました。
血管を傷つけないようにチタンクリップ(黒丸)で血管を止め、無事に右の副腎を摘出しました。
摘出した副腎です。
病理検査に出したところ、副腎皮質腺癌であることが確認されました。
また、手術中に左の副腎からも針生検を行いましたが、細胞診でははっきりとした診断はできませんでした。
手術後の経過は順調で、ワンちゃんは問題なく退院しました。退院後も体調は良好ですが、左の副腎も腫大しているため、今後も慎重に経過を観察していく必要があります。
まとめ
副腎に腫瘍ができると、その部位によって症状が異なります。
よく見られる症状
-
-
水をたくさん飲む・おしっこの量が増える(多飲多尿)
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食欲が異常に増える(多食)
-
腹部膨満、脱毛 など
-
しかし… まったく症状が出ないこともあります。だからこそ、定期的な健康診断(動物ドック)が大切です。
副腎の腫瘍は慎重な診断と治療が必要な病気です。
「うちの子は元気だから大丈夫」と思わずに、定期的にチェックしましょう。
獣医師:林 敬明
この内容は2025年3月時点の情報です。
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