林動物病院

〒411-0802 静岡県三島市東大場2-2-19

# 94 : 副腎摘出術・腎臓摘出術 / 【尿管を巻き込んだ副腎腫瘍】

今回ご紹介するのは、16歳の狆(ちん)の症例です。

【来院の経緯】

最近、お水をたくさん飲むようになり、体重も減ってきたとのことで、血液検査と腹部のエコー検査を実施しました。

【検査結果】

エコー検査の結果、左の副腎(黄丸)が2.3cmに腫れていることが判明しました。その後のホルモン検査と、このサイズの副腎の腫大は副腎腫瘍の可能性が高いため、開腹手術を行い、副腎を摘出することになりました。

【副腎摘出手術】

手術では、お腹を開いて副腎を確認しました。副腎は後腹膜という膜に包まれているため、慎重に膜を切開して、副腎を取り出します。

開腹して、後腹膜に包まれている副腎(黒丸)を確認。副腎の位置に内出血も認めました。

後腹膜を切開し、副腎(白矢印)を露出している途中の様子です。慎重に剥離をしていきます。

副腎(水色矢印)が尿管(白矢印)を巻き込んでいる状態

左の副腎は左の尿管を巻き込んでいることが判明しました。そのため、副腎と一緒に左の腎臓も摘出する必要がありました。

摘出した副腎腫瘍と腎臓です。

まとめ

今回の症例では、副腎腫瘍による体調不良が疑われました。手術によって副腎と腎臓を摘出しました。

16歳という高齢のワンちゃんでしたが、手術は無事に終わり、現在は元気に回復に向かっています。

 

獣医師:林 敬明

この内容は2025年2月時点の情報です。