林動物病院

〒411-0802 静岡県三島市東大場2-2-19

# 93 : 犬の尿管結石摘出手術 / 【急性腎不全を起こした尿管結石】

【症例紹介】

今回は、12歳のチワワちゃんが食欲不振と元気消失、ふらつきで来院された症例をご紹介します。

検査結果

血液検査と画像検査を行いました。

  • 血液検査
    強い炎症反応が見られ、腎臓の機能を示す数値は測定不能なほど高値でした。
  • レントゲン検査
    右の腎臓に結石(色丸)が確認され、さらに左の尿管には大きな結石(赤丸)があることがわかりました。

  • エコー検査
    左尿管の結石(黄丸)が映し出されました。この結石が尿管を塞ぎ、腎臓に深刻なダメージを与えていることが判明しました。

尿管結石摘出手術

緊急性が高いため、結石除去のための外科手術を行いました。手術では以下の処置を行っています。

1.尿管の確認
尿管の中の結石(黄丸)が透けて見えています。

2.尿管の切開
尿管を切開すると中から結石(白矢印)が目視されました。結石を慎重に取り除きました。

3.尿管の縫合
切開した尿管を縫合(黄丸)し、正常な状態に戻しました。

術後の経過

手術後は腎臓の数値が順調に改善し、元気を取り戻して無事に退院しました。
なお、今回の結石は「シュウ酸カルシウム」という種類のものでした。

まとめ

今回の症例のように、結石が尿管を塞いで腎臓に負担をかけることがあります。症状が重くなる前に早めの診察を受けることで、ワンちゃんの命を守ることができます。
元気がない、食欲が落ちたなどのサインに気付いたら、動物病院を受診して下さい。

 

獣医師:林 敬明

この内容は2025年1月時点の情報です。