# 90 : 角膜格子状切開術 / 【難治性角膜潰瘍】
犬の難治性角膜潰瘍の治療―外科手術で回復した症例
角膜潰瘍とは?
まず、角膜潰瘍とは、目の表面にある透明な膜(角膜)が傷つき、そこに潰瘍ができる状態を指します。角膜は目を守る大切な部分であり、傷が深くなると視力に影響を与えることがあります。犬にとっても非常に痛みを伴い、治療が必要です。
難治性角膜潰瘍とは?
通常、軽度の角膜潰瘍は適切な治療で回復しますが、「難治性角膜潰瘍」とは、治療をしても傷がなかなか治らない場合を指します。
今回、当院で手術を行ったのは、典型的な難治性角膜潰瘍の症例です。内科治療をしても潰瘍が改善せず、最終的に手術を決断しました。
手術の概要
今回の症例は角膜に傷があり、通常の内科治療では回復が見込めなかったので、「角膜の格子状切開」という手術をさせて頂く事になりました。これは、角膜に細かい切れ込みを入れることで、傷の治癒を促進し、角膜の修復を助ける方法です。
角膜格子状切開術
[手術前の角膜潰瘍の写真]緑色に染まっている部位が角膜に傷がついている場所です
まず傷の治癒を妨げる不要な組織を除去するためにデブリードメントを行います
細かい切れ込みが角膜に入っているのが分かります。
眼瞼縫合をした後の状態を撮影しました。目をしっかりと閉じて保護しています。
術後の経過と回復
手術が終わった後、犬は安静に過ごしてもらいました。術後数週間は、眼瞼縫合がそのままの状態で経過観察を行いました。幸いにも、犬は順調に回復し、角膜の傷は徐々に改善しました。
数週間後、眼瞼の縫合糸を抜糸すると、角膜の状態はすっかりきれいに回復していました。
まとめ
難治性角膜潰瘍は、適切な治療が必要な疾患ですが、外科的な手術によって回復することができます。この症例でも、角膜の格子状切開と眼瞼縫合により、無事に回復することができました。
もし愛犬の目に異常を感じた場合や、長引く目のトラブルがあれば、早めに獣医師に相談することが大切です。目の健康は視力だけでなく、愛犬の生活の質にも大きな影響を与えますので、早期の対処が重要です。
獣医師:林 敬明
この内容は2024年12月の時点の情報です。
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