# 75 : 猫の腸切開術 / 猫の誤飲【縫い針】
猫ちゃんは糸で遊ぶことが大好きです。しかし誤って飲み込んでしまった紐状異物が腸に引っ掛かると消化管穿孔を起こし状態が急激に悪くなることがあります。
今回の症例は1歳2か月のネコちゃんです。症状は嘔吐から始まり、徐々に食欲と元気もなくなってきたとの事で来院されました。
飼い主さんから、もしかしたら針を飲み込んでしまったかもしれないとの報告を受けて、まずレントゲン検査をさせていただきました。
レントゲン検査の写真です。お腹の中に針(赤丸内)がうつりました。
正面からのレントゲンでも針が写っていますが、腸の一部のシルエットが正常ではありません。問題は針だけではなく、紐状異物も誤飲して、腸がアコーディオン状になっている可能性があります。
すぐに開腹下での手術をさせて頂く事になりました。
腸切開術
開腹してみるとやはり腸はアコーディオン状になっていました。
アコーディオン状の腸を辿っていくと、近位の部分に針がひっかかり、腸を破って針先(黒矢印)が見えている状態でした。
針先が出ている部位の腸を小さく切開して針を出しましたが、この1か所では針と一緒に全ての糸を出すことが困難だったため、合計小腸を3か所切開して、糸を全て取り出しました。その後は丁寧に腸を縫合して腹腔内を何度も洗浄して手術を終えました。
腸を切開して糸を3か所で切断(ピンク丸)して取り出した糸と針です。
まとめ
- 猫ちゃんは糸で遊ぶのが大好きです。楽しそうに遊ぶので飼い主さんもついつい与えてしまう事があります。
- 犬より誤飲が少ない猫ですが、猫で多く見られる誤飲の1つとして紐状異物があります。
- 紐状異物は腸に引っ掛かったり、詰まったりする事で、消化管穿孔や消化管の壊死を起こす事があります。腸が破けると腹膜炎を起こし命に関わる危険な状態になってしまいます。
- 紐状のおもちゃで遊んであげる事は良い事ですが、遊び終わったら猫ちゃんの手が届かない所に片付けてあげて下さい。
獣医師:林 敬明
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