# 49 : 大型犬の断指術 / 【爪の根本の扁平上皮癌】

左前肢の跛行を主訴に50キロ以上のバーニーズマウンテンドッグが来院されました。

触診をしてみると、左前肢の第五指が腫れて痛みを伴っていました。

レントゲン検査を行いました。

第五指の爪の根本の骨が溶解（黄丸）しています。また他の指に比べて腫れているのもわかります（赤矢印）

骨の融解は感染などの炎症でも起こりますが、腫瘍の可能性が高いです。

今回の症例は抗生物質の治療に反応がなかったため、断指切除を行い、痛みからの解放と病理検査による診断を行う事になりました。

術後のレントゲン検査です。

中手指関節（黄緑矢印）を外して断指しました。

断指術を行って切除した左前第五指です

病理検査の結果は悪性腫瘍の【扁平上皮癌】でした。

幸い、マージンは3cm以上あり、腫瘍の脈管内浸潤は認められませんでした。

今回のような断指手術によって完全に治癒する事が期待できますが、10～30％程の確率でリンパ節や遠隔転移をする可能性もあるため今後も注意が必要です。

歩行をするのに特に重要な指は第三、第四指です。今回切除した指は第五指だったので、抜糸の時には、元気に歩いて来院してくれました。

獣医師：林　敬明

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