林動物病院

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# 35 : 《外鼻孔狭窄》《軟口蓋過長》 整復術 / 【短頭種気道症候群】

フレンチブルドッグやパグなどの短頭種は愛嬌があってとても可愛い顔をしていますよね。

人気のある短頭種にはフレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリア、ブルドッグ・シー・ズーなどがいます。

そんな短頭種の呼吸音を注意して聞いてみて下さい。興奮時や運動時に「ガーガー」「ブーブー」といった呼吸音が聞こえませんか?また寝ている時のいびき音は気になりませんか? 飼い始めた時から聞き慣れていて、その音が当たり前だと思っている飼い主さんも多いのですが、実はその音『頑張って呼吸している音』なんです。

 

短頭種とは、いわゆる鼻ぺちゃ犬と呼ばれて、可愛い顔をしています。解剖学的には頭蓋骨の長さに比較して、鼻の長さが極端に短い犬種を短頭種と言います。

短頭種気道症候群という病気は、特徴的な上気道(鼻の入り口・鼻の中・喉・気管)の構造上、空気の通り道が狭くなって、正常に呼吸が出来ない病態の事を言います。

 

〈短頭種気道症候群の特徴〉

外鼻孔狭窄

鼻の穴が狭い

 

・軟口蓋過長

口と鼻を隔てている軟らかい部分の軟口蓋(なんこうがい)が厚く長い。

※人間の「のどちんこ」もこの軟口蓋の一部です

 

・喉頭小嚢反転(外反)

喉の一部が反転し気道を狭くする

 

・気管低形成

気管が十分に形成されていなく、細くなっている

 

・喉頭虚脱

喉頭を支える軟骨が弱くなり潰れてしまう

 

など

 

短頭種気道症候群は上記の状態が1つもしくは複数組み合わさり症状が出ます。

短頭種の多くは先天性に『外鼻狭窄』と『軟口蓋過長』があります。しかし慢性的に努力性の呼吸をすることで、『喉頭小嚢反転』が続発したり、最終的には『喉頭虚脱』を起こして亡くなる場合もあります。

 

短頭気道症候群を予防する事はできません。

徐々に進行していき、慢性的に悪化するので、早期の治療が勧められます。

短頭気道症候群の治療は基本的に外科手術になります。

 

《外鼻孔狭窄》整復手術

狭い鼻腔を広げる手術です。空気の通り道が広くなります。

見た目でも術前(黄丸)・術後(ピンク丸)の違いがわかりますね。

 

《軟口蓋過長》整復手術

過長している軟口蓋を適切な長さ(黄矢印)に切除します。切除後は気道(白丸)がしっかり確認できます。

まとめ

短頭種気道症候群の治療には内科治療と外科治療があります。

内科治療は緩和治療のため、外科治療の方が推奨されています。なるべく若いうちに外科手術を行った方が術後の経過が良いという報告があります。

また短頭気道症候群のワンちゃんは熱中症になりやすいので夏場の散歩には気をつけて下さい。夕方になり飼い主さんは涼しく感じていても、犬が歩くアスファルトの上はまだ熱い事があるので注意が必要です。

そして肥満により呼吸不全になる可能性があるので、太っているワンちゃんは積極的なダイエットが勧められます。それには飼い主さんの努力が必要です。愛犬の理想体型に向けて頑張ってみて下さい。

 

獣医師:林 敬明