# 30 : 犬の大腿骨頭切除術 / 【見逃さないで子犬のビッコ】
今回は犬の大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス症)により大腿骨頭切除術を行った症例についてお話します。
大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス症)については以前に『# 3 : 大腿骨頭切除術 』でも説明させて頂きました。
詳細はコチラからどうぞ。
今回の症例は8カ月のトイプードルです。
レントゲン写真では右の大腿骨頭(赤矢印)が正常な左に比べ変形しています。
太ももの筋肉量も左に比べ低下していて細い事がわかります。
大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス症)と診断しました。
大腿骨頭壊死症(レッグ・ペルテス症)は自然に治癒する事がないため外科治療が必要になります。
大腿骨頭切除術
整形外科は特に感染に気を付けて手術を行っていきます。
足全体をしっかり消毒をして、皮膚にはさらにヨウ素化合物を含んだフィルムドレープをかけていきます。
手術は皮膚を切開後、筋肉を分けて股関節にアプローチします。
関節包を切開して、大腿骨頭を股関節から脱臼させます。
白矢印が壊死を起こしている大腿骨頭です。
その後、切除ラインがしっかり確認できる位置まで大腿骨(黄矢印)を露出していきます。
電動のサジタルソーを使用して壊死部位を残さない様に大腿骨頭を切除します。
サジタルソーで切除しているので断面はきれいですが、ラウンドバー(白矢印)で断面をさらに滑らかにすることで、術後の痛みを少しでも軽減しています。
切除した大腿骨頭です。
病理検査の結果、やはり大腿骨頭は壊死を起こしていました。また壊死部は完全に切除されていました。
術後のレントゲン写真です。
ピンクの矢印の先が切除部位です。
この症例は術後の経過が良く、術後2週で4本足を使って歩行をしていました。
まとめ
成長期の子犬の跛行や、歩く時に足を上げる様子が認められる場合に、今回のようなレッグ・ペルテス症の他にも、膝蓋骨の脱臼やその他の病気でも同様の症状を示すことがあります。
愛犬の歩行に少しでも違和感を感じたら、動物病院で診察を受けて下さい。
獣医師:林 敬明
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