# 82 : 犬の瞬膜腺脱出整復手術 / 【チェリーアイ】
瞬膜(第三眼瞼)とはワンちゃんやネコちゃんの目頭にあるシート状の組織です。
瞬膜の働きは涙の産生や、角膜の保護をしています。
瞬膜腺の脱出はチェリーアイとも呼ばれます。瞬膜の根本にある瞬膜腺が反転して飛び出てくると、その部位がサクランボのように見えることからその名前がつけられました。
今回の症例の写真です。
左目の瞬膜腺が脱出(黄矢印)しています。
整復手術にはいくつかの方法があります。瞬膜軟骨に固定する方法、眼窩骨膜への固定法、ポケット法などです。以前は飛び出た瞬膜腺を切除していたこともありますが、瞬膜腺は涙の産生にも関与しているので、切除してしまうとドライアイになってしまうため、現在では切除することはありません。
瞬膜腺脱出整復手術
今回は変則のポケット法で手術を行いました。
ますは脱出した瞬膜腺を正常な位置に縫合固定しました。この段階で脱出した瞬膜腺はもう見えません。
その後、通常のポケット法である瞬膜腺を結膜粘膜に埋没させ、眼球に縫合糸が触れないように縫合しました。
手術翌日の写真です。少し炎症があり腫れていますが、脱出した瞬膜腺は正常な位置に戻っています。
まとめ
チェリーアイは治療せずにそのままにしておくと、涙の量が減り、乾性結膜炎を起こしてしまう可能性があります。
内科治療に反応しない場合や再発してしまう場合のチェリーアイでは、なるべく早く外科手術で脱出した瞬膜腺を元の位置に戻してあげることが推奨されます。
獣医師:林 敬明
カテゴリ
- 外科 (86)
- 軟部外科 (60)
- 整形外科 (26)
- 胸部外科 (4)
- 歯科口腔外科 (7)
- 耳科手術 (1)
- 呼吸器外科 (6)
- 消化器外科 (10)
- 泌尿器外科 (6)
- 肝臓・胆嚢・脾臓外科 (12)
- 内分泌外科 (1)
- 生殖器外科 (11)
- 眼科手術 (6)
- ヘルニア整復手術 (6)
- 腫瘍摘出手術 (19)
- 内視鏡 (3)
- 内科 (2)
- その他 (1)
アーカイブ
- 2024年11月 (3)
- 2024年10月 (3)
- 2024年9月 (3)
- 2024年8月 (3)
- 2024年7月 (3)
- 2024年6月 (3)
- 2024年5月 (3)
- 2024年4月 (3)
- 2024年3月 (3)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (3)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (3)
- 2023年8月 (2)
- 2023年7月 (2)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (1)
- 2022年11月 (1)
- 2022年10月 (1)
- 2022年9月 (1)
- 2022年8月 (1)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (3)
- 2021年12月 (1)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (1)
- 2021年9月 (1)
- 2021年8月 (1)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (1)
- 2021年4月 (1)
- 2021年3月 (2)