# 67 : 膝蓋骨内方脱臼整復術 / 【左右で違うGradeの手術】
小型犬で多い膝蓋骨の内方脱臼に関しては以前の症例紹介( # 24 :膝蓋骨内方脱臼整復術 / 【小型犬に多い、膝のお皿が緩い】)でもお話をさせて頂きました。
今回は左右で違うGradeの膝蓋骨内方脱臼整復手術を同時に行った症例です。
術前のレントゲン写真です。左と右の膝蓋骨が内側に脱臼(黄丸)しています。
手術では膝蓋骨を正常な位置に戻し、再脱臼させないようにしますが、症例ごとに矯正の仕方が異なります。
膝蓋骨内方脱臼整復手術
今回の症例の術式です。
右足
・滑車溝形成術
・関節包縫縮術
・縫工筋解放術
・脛骨粗面転移術
左足
・滑車溝形成術
・関節包縫縮術
・内側支帯リリース
・脛骨粗面転移術(Gerdy結節除去後、外側に転移)
上記の手術内容を行いました。
左足は右足より内方への脱臼力が強かったため、右足と左足では術式を変えて手術を行いました。
膝蓋骨が脱臼する原因は解明されておらず、様々な要因が関係していると言われているので、手術はその症例にあった術式を実施します。そのため同一個体であっても今回のように左右で違う術式を行う事があります。
術後のレントゲンです。
左右の膝蓋骨とも正常な位置に整復(赤丸)されています。
術後の歩行や膝蓋骨の位置も順調です。
まとめ
小型犬が増えてきた近年、膝蓋骨習慣性脱臼はとてもポピュラーな疾患です。
両足とも脱臼で問題を抱えている場合は同時に手術を行う事が多いです。
小型犬で子犬(生後4~6ヶ月)の頃から見られる疾患ですので、歩行に違和感や痛そうな様子が認められた場合はかかりつけの動物病院を受診して下さい。
獣医師:林 敬明
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