# 50 : 猫の副腎摘出術 / 猫の副腎腫瘍【副腎皮質腺癌】
猫の副腎腫瘍は犬に比べて稀な疾患です。
治療は外科手術が第1選択になりますが、副腎は腹腔内の最も深い位置(背側)に存在し、大血管である後大静脈や腹大動脈に隣接しているので難易度が高い手技になります。
今回の症例のエコー検査です。
副腎腫瘍を輪切りにした状態の画像です。
腫瘍が大血管の腹大動脈(赤丸)を圧迫する形で存在しています。
副腎摘出手術
開腹をして腫瘍(黄丸)を確認した写真です。
ただでさえ術野の確保が大変な手術ですが、腹腔内の脂肪がとても多く、かなり大変な手術になる事が容易に想像できました。
術前のエコー検査の所見同様、腹大動脈(水色矢印)と腫瘍(黄矢印)が癒着しています。腫瘍は周囲組織とも癒着していました。
副腎周囲は血液供給が豊富で、多数の血管が存在します。そのため電気メス・縫合糸・綿棒・チタンクリップ・シーリングデバイス、特殊な形状の手術器具など様々な道具を駆使して出血させないように慎重に腫瘍を摘出していきます。今回は幸いにも、ほとんど出血する事なく無事に副腎を摘出する事ができました。
摘出した副腎腫瘍です。
病理検査の結果は『副腎皮質腺癌』という悪性の腫瘍でした。
術後は無事に退院して、容体は安定しています。
獣医師:林 敬明
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