# 39 : 仔犬の直腸脱整復術(直腸切除・吻合術)/ 【お尻から出た腸】
直腸脱とは肛門から直腸粘膜が脱出した状態です。
原因として、若齢では内部寄生虫や腸炎などの下痢やしぶりに伴う事が多く、高齢では、腫瘍や会陰ヘルニア、直腸ポリープなどに伴って発生します。その他にも便秘・難産・尿路結石・前立腺疾患などでも直腸脱の原因となります。
直腸脱が軽度な場合は、用手で脱出した腸を戻し、肛門の周りに巾着縫合を施すだけで治る事があります。
再発性の直腸脱では、結腸を腹壁と固定する事で直腸脱を防止する結腸固定術を行うことがあります。
しかし、今回の直腸脱は、大量に反転した直腸が壊死を起こしている状態でした。壊死をした直腸は切除する必要があります。用手での整復や結腸固定術は適応外です。そのため壊死した直腸を切除してから吻合する事にしました。
直腸脱整復手術【直腸切除・吻合術】
黄丸が肛門から脱出した直腸粘膜です。壊死を起こしている状態です。
支持糸をかけてから、脱出して壊死している直腸を段階的に切除していきます。
直腸の全層を切開して解剖学的に合わせて縫合していきます。
全周を2mmの等間隔で縫合します。
術後の写真です。綺麗に整復できています。
こちらが今回切除した直腸です。
まとめ
排便時に起こる不完全な粘膜の脱出は自然に治ることがあります。
しかし慢性的に出ている直腸粘膜は動物が舐めたり、座ったりすることで損傷し、壊死や敗血症を起こす事があります。
愛犬・愛猫の肛門から粘膜が持続的に出ている場合は異常です。かかりつけの動物病院を受診して下さい。
獣医師:林 敬明
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