# 22 : 犬の橈尺骨骨折整復術 / 【犬の前肢の骨折】
今回は犬の橈尺骨骨折の整復手術について話します。
近年は小型犬が増えてきました。ちっちゃくて可愛いワンちゃんは骨も細いです。ソファーから飛び降りたり、抱っこ中に誤って落としてしまった衝撃で骨折してしまう可能性があります。
そんな骨折で一番多い場所が、前腕の橈骨と尺骨です。
骨折しやすいのに、この部位の骨折は厄介なんです。超小型犬やトイ犬種の橈骨はとても細くデリケートなため、術後に骨萎縮や癒合不全を起こす可能性があるからです。
今回の症例は5.8キロの柴犬です。
術前のレントゲン写真です。
橈骨(赤矢印)と尺骨(黄矢印)が完全に骨折しています。
正面からのレントゲン検査でも骨折(白矢印)がわかります。
橈尺骨骨折整復手術
整形外科は軟部外科以上に感染には気を付けて手術を行っていきます。
皮膚を切開し、筋肉を剥離していくと骨折部位(黄緑矢印)が露出されました。
橈骨をプレートで固定していきます。
橈骨はただ真っすぐな骨ではありません。
橈骨はアーチ状になっていて、遠位(手首側)は上向きに沿っています。また近位(肘側)に向かって内側に捻じれているので、骨の形状に合わせてプレートの形を微調整(黄色矢印)していきます。
橈尺骨骨折を整復する時に大事な事は橈骨をプレートで固定するだけでなく、尺骨も正確に整復するという事です。今回は通常とは違う方法で尺骨を固定しました。
術後のレントゲン写真です。橈骨の整復だけでなく、尺骨(水色矢印)もしっかり整復出来ています。
手術前までは骨折している足は完全に挙上していましたが、今回の症例は手術を行った翌日からその足をつけて歩く事が出来ました。
まとめ
トイプードル・チワワ・ポメラニアンなどの小型犬は落下事故や、飼い主さんが誤って踏んでしまう事などで容易に橈骨・尺骨の骨折を起こす可能性があります。
普段から骨折しないように予防することが大切です。高い所に上れないような工夫をしたり、抱っこで受け渡す時は低い位置で行う、両手でしっかり抱きかかえるなど、十分に気を付けましょう。
獣医師:林 敬明
カテゴリ
- 外科 (84)
- 軟部外科 (59)
- 整形外科 (25)
- 胸部外科 (4)
- 歯科口腔外科 (6)
- 耳科手術 (1)
- 呼吸器外科 (6)
- 消化器外科 (10)
- 泌尿器外科 (6)
- 肝臓・胆嚢・脾臓外科 (12)
- 内分泌外科 (1)
- 生殖器外科 (11)
- 眼科手術 (6)
- ヘルニア整復手術 (6)
- 腫瘍摘出手術 (19)
- 内視鏡 (3)
- 内科 (2)
- その他 (1)
アーカイブ
- 2024年11月 (1)
- 2024年10月 (3)
- 2024年9月 (3)
- 2024年8月 (3)
- 2024年7月 (3)
- 2024年6月 (3)
- 2024年5月 (3)
- 2024年4月 (3)
- 2024年3月 (3)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (3)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (3)
- 2023年8月 (2)
- 2023年7月 (2)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (3)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (1)
- 2022年11月 (1)
- 2022年10月 (1)
- 2022年9月 (1)
- 2022年8月 (1)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (3)
- 2021年12月 (1)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (1)
- 2021年9月 (1)
- 2021年8月 (1)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (1)
- 2021年4月 (1)
- 2021年3月 (2)