# 10 : 内視鏡下異物摘出術 / 【プラムの誤飲】
ワンちゃんは『そんなものを!?』とびっくりするような物を誤飲してしまうことがあります。
おもちゃや家具、コードや紐、さらには飼い主さんが落とした食べ物など、あっという間に口にしてしまいます。
今回の症例です。
いつもとっても元気で食欲旺盛な3歳の小柄なトイプードルちゃんが、プラムの種を食べてしまったとのことで来院されました。
通常、病院で異物の誤飲に対して行う処置は、①催吐処置、②内視鏡で除去、③開腹手術の3つです。動物の負担を考えて、できる限り①の催吐処置か②の内視鏡で対応したいものです。
検査をしていきます。
通常のレントゲン検査では種がはっきりと確認できませんでした。そのためバリウム検査を行ったところ、胃内にプラムの種(赤丸)が認められました。黄色の矢印は飼い主さんが持参したプラムの種です。この大きさでは腸の通過は不可能です。
内視鏡で胃内のプラムの種を取ることにしました。
今回のような異物を取る鉗子は、泡だて器のような特殊な形状のバスケット鉗子を使用します。
内視鏡で胃内を調べたところ、プラムの種は十二指腸に流れる幽門部にはまっていました。開腹手術も考えましたが、内視鏡で根気強く種にアプローチしたところ、無事に種が胃内に戻ってきました。バスケット鉗子で種を掴み、無事に摘出できました。
下の写真は胃内にあるプラムの種をバスケット鉗子で掴んでいるところです。
摘出したプラムの種です
まとめ
ワンちゃんは飼い主さんがびっくりするようなものを誤飲してしまいます。今回はプラムの種だけでしたが、プラムの果肉には犬にとって有毒な物質が含まれています。
犬の誤食で怖いのは、①通過障害、②中毒、③消化管穿孔です。異物となるものに興味や嗜好性があると、ワンちゃんは飲み込んでしまう可能性があるので、日頃から誤飲には注意してあげてください。
獣医師:林 敬明
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